運動で免疫力アップ??


 コロナウィルスによる新型肺炎の感染拡大での行動自粛が推奨される中で散歩やジョギングなどは厳しく制限されていません(自宅から1Km以内の範囲に限定されている例もありますが)。
 根拠の一つとされるのが「運動は免疫力を高めるから!」ということですが本当なのでしょうか?
 運動と免疫力の関係には多くの研究報告があり、一般的には「適度な運動は良いが過度な運動は免疫力を低下させる」と認識されています。ではそのメカニズムは何か?、というとよくわからないことが多いのです。
 免疫のシステムは、細菌やウィルスなどの生体侵入に対してまずマクロファージという細胞が攻撃して炎症反応を起こします。そしてその間に相手方の遺伝子情報を獲得してT細胞という免疫の中枢システム(HIV感染で破壊され免疫不全を引き起こすことで有名)に送ります。もしその相手がかつて感染されたものであれば、それに応じて獲得された抗体などを生産し相手を攻撃することで事なきを得ます。新型ウィルスが猛威を振るうのはこの免疫システムが過去のデータをもっていないためです。
 さらに最近の研究では、この免疫システムが過剰反応をして病原体以外の通常の細胞を攻撃すること、そしてその過剰反応を阻止する「Tレグ細胞(ノーベル賞の大阪大学・坂口先生)」の存在も指摘されています。このTレグシステムがないと免疫システムは「いつまでも」攻撃をやめないため様々な不都合(自己免疫性疾患など)を引き起こすことも指摘されています。今回のコロナウィルスによる肺炎でもこの過剰攻撃(サイトカインストーム)の可能性も指摘されています。
 運動が免疫力を高める可能性の一つが身体運動による「ストレス低減効果」です。過度のストレス反応(ストレスホルモンのコルチゾールなどの過剰分泌)が免疫システムを低下させることはよく知られており、2019年4月のブログでも指摘したように、適度な身体運動がストレス反応を低減させるので「結果として免疫力が維持される」可能性があるのです。
 身体運動の実施が免疫システムを維持することに有効であることは多々指摘されています。今回のコロナウィルス感染予防での行動自粛が運動量の減少を招きメンタルストレスの増加と相まって免疫機能の低下をもたらすことが懸念されています。
 私たちの身体は細菌やウィルスの感染に対して免疫システムが作動します。この際リンパ球の活性化により細菌などを攻撃するのですが、筋肉を自己分解することによって「グルタミン」というタンパク質を生成しこのグルタミンがリンパ球を活性化することが指摘されています。40度の発熱が数日続いて「やつれる」のは実は筋肉の自己分解の結果なのです。ということは逆に筋肉量が少ないということはいざというときに免疫システムを活性化できない危険性があります。
 血液中の「アルブミン」の濃度低下(4mg/dl以下)が生存率を下げることも指摘されています。アルブミンは食品中の肉や魚などのタンパク質由来で筋肉や血管やリンパ球を作るうえで極めて重要です。実は高齢者の低栄養(タンパク質摂取不足)は、運動不足と相まって「加齢性筋萎縮症(サルコペニア)」を加速して免疫力を低下させます。
 身体運動を行ってバランスの良い栄養と休養を心がけ、筋肉量を維持するということはサルコペニアや生活不活発病による虚弱(フレイル)を予防するうえで極めて重要なのです。(2020.04.11)


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