最近「持久力」が低下してきたように思うのですが?


 ベテランランナーの方から「どうも最近ロードレースのタイムが落ちてきたのだけれど・・」と相談されます。トレーニングを継続していても年齢相応の機能低下は起こりますが、個人差は大きいようです。年齢に伴う筋委縮が起こりにくい遺伝子の存在も指摘されていますし、ケガや故障で練習量が確保できないケースもあります。ただ、長距離ランニングの場合には、練習量の維持やトレーニングメニューの変更で対応ができ、統計的にみると著しい記録低下は招かないことが報告されています。
 「持久力」は結果(タイム)で評価されるのですが「持久性」となると話が違ってきます。持久性とは一定時間以上身体運動を「継続できる能力」のことで、フルマラソンのタイムが低下してきた・・といっても5~6時間も走り続けられることはとても重要なことで、当然普段からそれなりの練習をしていないといけません。逆に軽い身体運動でも20分以上継続できなくなった・・というケースは問題です。呼吸循環系やエネルギー供給系、筋の機能低下などが考えられ、背景には運動不足と肥満が見え隠れします。若い女性の食事制限のみの極端なダイエット志向も拍車をかけます。電車の中で立っていられない、長く歩くことが困難、長時間集中力を保てないなどの症状も「持久性」の低下なのです。
 子どもの体力問題でも1000m走のタイム低下が問題なのではなく、長い時間遊び続けることのできなくなる「持久性の低下」を招いてしまう生活環境の悪化こそがより重大な問題と考えられます。ロードレースのタイムが遅くなってきたこと・・よりも運動を継続的に実施することが困難になってきたことの方がより重大な事態なのです。
 実は私たちの身体は、ご先祖様たちの遺伝子を色濃く反映しています。200万年以上前からアフリカのサバンナでは「持久狩猟」といって、そこそこの速度で30Kmも獲物を追い回して熱中症にして仕留めるという身体運動の戦略と様式を行っていたのです。そしてその結果として、栄養事情の改善と石器の製作などの行動様式の進化が脳の大型化と機能向上を促してきたと考えられています。つまり人類学的に考えても「持久性の低下」は「脳機能の危機」を招く可能性が高いのです。(2019.04.09)


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