ストレスを低減する方法は?


 アメリカ心理学会では、ストレス対策として、①ストレスの原因を避ける、②運動を行う、③笑う、④社会的サポートを受ける、⑤メディエイション(瞑想)、の5つを推奨しています。
 ハーバード大学の精神科医 J.レイティ先生は、「脳を鍛えるには運動しかない(原著:SPARK! How exercise will improve the performance of your brain,Quercus,2009)、邦訳:野中香方子、HNK出版、2009年)の中で、身体運動の重要性を指摘します。
 身体運動を行うということは、人類史的に考えても本質的な問題で、ご先祖様であるホモ・エレクトス(直立するヒトという意味)の段階から、食事メニューを改善するため「持久狩猟」という獲物を30Kmも追い回して仕留めるという戦略をとり、肉食や骨髄といった食事メニューの多様化とともに重要な道具である石器製作の高度化(実は高度化は生存の危機的状況で発達する)をはかって脳の大型化を進めてきました。また言語機能にかかわる脳のブローカ野が石器製作のプロセスで積極的に活動することも指摘されています。つまり持続的な身体運動や高度な認知を伴う運動は脳の機能にとって「一義的」であるということなのです。
 レイティ先生は、身体運動にともなって脳内に分泌される幾つかのホルモンの重要性を指摘します。そして脳の機能をすべて調整している神経伝達物質、①セロトニン、②ノルアドレナリン、③ドーパミン、の重要性を、グルタミン酸やガンマアミノ酪酸(GABA)という学習関与物資との関連から指摘します。セロトニンはうつや不安障害などの脳の暴走を抑制し「プロザック」といわれる薬品と、ドーパミンは注意欠陥多動性障害(ADHD)などを緩和する「リタリン」といわれる薬品と同じ性質をもつものです。
 運動によって脳内に増加する物資の中で、もっとも有名なものは、神経ニューロンンの樹状突起を増加させる脳由来神経栄養因子(BDNF)です。そしてその増加により、①インシュリン様成長因子、②血管内皮成長因子、③線維芽細胞成長因子、といった物質が脳内で活発に活動することを指摘しいます。そしてこれらはすべて運動実施に伴って増加する物質であり、実はストレスによる扁桃体-視床下部-副腎系(HPA軸)でのストレスホルモンの暴走を抑える働きをしているようなのです。(2019.04.14)


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